「Computational Neurology Club Seminar」第7回・第8回 開催のご案内(『行動変容生物学』共催)
大変お世話になっております。ExCELLSの中江です。第7回および第8回のComputational Neurology Club Seminarについてご案内致します。
第7回はExCELLSの伊藤 暁先生、第8回は奈良県立医科大学の森 英一朗先生にご講演を頂くことになりました。是非ご参加いただけたら幸いです。
「Computational Neurology Club Seminar」第7回
テーマ: 分子シミュレーションで見るアミロイドベータペプチドの凝集初期過程
日時:2024年3月21日(木)15:30-17:00
開催場所:オンライン(zoom)
講演者:伊藤 暁(ExCELLS)
概要:アルツハイマー病を引き起こす原因の一つとして、アミロイドベータペプチド(Aβ)が凝集して形成するオリゴマーあるいは不溶性のアミロイド線維が考えられている。固体NMRやクライオ電子顕微鏡を用いた実験によりアミロイド線維の立体構造が明らかになっていが、これらの構造がどのように形成されるのか、その形成過程は未解明のままである。そこで、我々は分子シミュレーションを用いて、この解明に取り組んでいる。最近の我々の研究により、Aβのアミロイド線維形成の初期過程に重要な役割を果たすアミノ酸残基を特定することに成功した。また、細胞膜表面や水溶液表面のような親水性/疎水性界面でアミロイド線維形成が促進されることが知られている。分子シミュレーションを用いることで、界面でのアミロイド線維形成に関する新たな知見を得ることにも成功した。本発表では、これらの研究について紹介する。
「Computational Neurology Club Seminar」第8回
テーマ: 生物学的相分離の駆動・制御・破綻
日時:2024年4月23日(木)15:00-16:30
開催場所:オンライン(zoom)
講演者:森 英一朗(奈良県立医科大学)
概要:タンパク質や核酸などの生体分子が膜に囲まれていないオルガネラを形成する過程を、相分離と呼ばれる物理化学法則で読み解く取り組みが2010年代に活発に行われた。こうした生物学的な相分離は、アミノ酸の組成に偏りのある低複雑性配列(low-complexity regionまたはLCドメイン)により駆動されることが明らかになってきた。また、LCドメインは、天然に構造を持たないことから、天然変性タンパク質・天然変性領域(intrinsically disordered protein/regionまたはIDP/IDR)と呼ばれる。Fused-in-sarcoma(FUS)は、非常に研究が盛んに行われている相分離研究のモデル分子であり、肉腫の染色体転座で発見されたことからこのような名称となっている。FUS自体は、生理的にはRNA結合因子として機能しており、相分離状態を駆動するLCドメインや、制御する相分離シャペロン(Kapβ2)などの作用機序も明らかになりつつある。さらには、相分離を破綻させることでタンパク質などの凝集を惹起し、神経難病などの疾患発症につながる可能性についても知られるようになってきた。本講演では、生物学的相分離の駆動・制御・破綻について、最近の研究成果について紹介したい。
ご登録は以下のリンクから可能です。
https://boatneck-weeder-7b7.notion.site/Computational-Neurology-Club-a945537f7cb54db3b20fa9c4e65c1e72?pvs=4